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インフルエンザと漢方薬

[2019.12.22]

今期はインフルエンザワクチンの接種に多くの方々に受診していただきましたが、徐々にインフルエンザに感染した方々の受診が増加しております。福岡県でも患者報告数が令和元年第50週(12月9日から12月15日)に「15.83」となり、注意報の開始基準値である「10」を超えました。注意報は今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性が高いことを表しますので今後注意が必要です。またすでに近隣の学校での学級閉鎖などもあり、日頃から手洗いの励行、定期的に部屋の換気、十分に栄養や睡眠をとるなど基本的な予防策も重要です。

インフルエンザと漢方薬

それでも家族内での感染者など予防にも限界がある場合もあり、インフルエンザ症状を認めて受診される方も多くおられます。その場合はインフルエンザ抗原の迅速検査で診断が可能です。この場合は抗インフルエンザ薬(タミフルやイナビルなどのノイラミニダーゼ阻害薬など)を中心とした治療を行います。しかしながら発症早期(12時間以内)や検査精度の問題があり迅速検査が陽性化しない場合は抗インフルエンザ薬を投与すべきか苦慮する場合もあります。この場合一般の風邪にも使用する漢方薬が抗インフルエンザ薬同等の効果を持っていることもあり、漢方薬単独(または抗インフルエンザ薬と併用)で処方する場合もあります。

麻黄湯の効果

インフルエンザに保険適用がある漢方薬はいくつかありますが、特に『麻黄湯』には、ウイルス感染に対する濃度依存性の抑制効果として桂皮(ケイヒ)が、サイトカインの産生抑制の効果として桂皮と麻黄が、免疫賦活作用として杏仁(キョウニン)と甘草(カンゾウ)が含まれており、特に感冒やインフルエンザ急性期の使用に向いているとされています。

ただし世間一般での漢方薬は「効果が弱く、即効性がない」というイメージがあるのではないでしょうか。近年は漢方薬に対する臨床研究も多く実施されており、これらをまとめたメタ解析(複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いた解析、最も質の高い統計)でもその効果が示されています。

麻黄湯と抗インフルエンザ薬を直接比較した研究では、症状(発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、悪寒)改善までの期間を短縮する効果はど同等であり、麻黄湯+抗インフルエンザ薬の併用と抗インフルエンザ薬単独を比較した研究では、麻黄湯併用グループで発熱期間を有意に短縮したり、頭痛期間の有意な短縮も認めています。    

        

当院では一人ひとり異なるインフルエンザに伴う諸症状に対して抗インフルエンザ薬や漢方薬などを組み合わせた治療を心掛けて診療しております。体調が悪化したときはご相談いただければ幸いです。

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