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インフルエンザは風邪ではありません

[2019.09.22]

最近インターネットやSNSを通じて世間に与える影響力が大きい行動を行う人物のこと指す「インフルエンサー」と言葉をよく聞きます。これからの季節猛威を振るい始める感染症「インフルエンザ」と響きが似ていますが、語源は同じラテン語の「影響(influentia)」から由来するようです。ともに「すごいスピードで」「全世界に伝播していく」意味では共通点が多いですが、過去には一冬で全世界で4000万人の人々の命を奪たこともある「インフルエンザ」はやはり通常の風邪とは区別すべき感染症と考えます。

 

インフルエンザと風邪の違い

インフルエンザはA型またはB型インフルエンザウイルスが呼吸器に感染することによって起こる病気です。インフルエンザは伝染力が強く、毎冬のように短期間に集中して百万人単位で大勢の人が罹患するために、健康被害のみならず社会活動にも大きな影響を与えます。

一般にインフルエンザは、感染後1~2日の潜伏期の後に38度以上の発熱をもって突然発症し、初期には頭痛、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの強い全身症状を示すことが特徴です。その後せき、痰などの呼吸器症状が現れて、数日の間寝込まざるを得ない状態が続きますが、通常は1週間以内に回復します。

しかし、インフルエンザは他の風邪(感冒)にくらべて極めて危険な病気です。特に、65歳以上の高齢者、乳幼児、妊婦、さらに年齢を問わず呼吸器系や循環器系に慢性疾患を持つ方、糖尿病などの慢性代謝性疾患、慢性腎不全など腎機能異常の疾患の方、免疫低下状態の方などでは、インフルエンザに罹患すると、入院を必要とする肺炎・気管支炎、脳炎などの重篤な合併症がもたらされ、更には死亡する危険性が数倍から数百倍にも増加します。

インフルエンザの予防

このようなインフルエンザによる健康被害を防ぐにはどうすればよいでしょうか。ウイルス感染そのものを完全に防ぐことが出来ればいいのですが、現在のところ残念ながらそのような方法は存在しません。

人ごみを避けたり、患者との接触を絶って感染の機会を減らすとか、寒気をさけて十分な栄養と休息をとって体力を保つとか、うがいや手洗いを励行するなどの一般的な予防方法は、消極的ですが効果はあり、是非とも心掛けるべきことです。

インフルエンザの予防接種

予防接種はインフルエンザの「感染」そのものを完全には予防できませんが、「発症」と「重症化」を防ぐために行います。よくワクチン接種を行っていたのにインフルエンザに感染したお話は耳にしますが、統計学的には65歳未満の健常者についてはインフルエンザの発症を70~90%減らすことができ、65歳以上の一般高齢者では肺炎やインフルエンザによる入院を30~70%減らすことが出来るともされています。また持病を持っていることが多い老人施設の入居者については、インフルエンザの発症を30~40%、肺炎やインフルエンザによる入院を50~60%、死亡する危険を80%、それぞれ減少させることが出来るとされています。

なおワクチン接種後に免疫効果を発揮するまでにおよそ2週間かかることから、流行する12月~3月より前に予防接種を受けましょう。


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