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マスクと熱中症対策

[2020.06.21]

5月14日に福岡での緊急事態宣言が解除され1か月以上経過しました。新しい生活様式が徹底され、夏季に入ったこともあり本格的な第二波はまだ認めていない状況です。ただし先日行われた厚生省が東京・大阪などで実施した抗体検査では抗体保有率0.01%前後と潜在的な感染の広がりが想像以上に広がっていなかったことから、今後予想される第二波は今まで以上の規模も予想されます。このため今後も感染予防策が重要となりますが、真夏にマスクを着用するといういまだかつてない経験をせざる得ない状況です。ちょうど梅雨入り時期から増加する「熱中症」の予防とマスク着用は相反する行為であるため注意が必要です。今回は6月1日に日本救急医学会などから発表された「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」の要点をまとめてお伝えしたいと思います。

①屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。

新型コロナウイルス感染症の予防対策においては、いわゆる 3 密(密閉、密集、密接)といわれる環境を避け、屋内の滞在時では『部屋の窓を風の流れができるように、毎時 2 回以上は開放(数分程度/回)し、換気を確保すること』が推奨されています 。とかくエアコンを付けていれば、新鮮な空気に入れ替わっていると思われがちですが、実は、通常の家庭用エアコンは空気を循環させるだけで、換気の機能はありません 。したがって、新型コロナウイルス感染症の予防のためには、適宜窓を開け、風通しをよくすることが重要です。

また、熱中症の危険は WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)、いわゆる暑さ指数(熱中症指数)でも認識することができます。WBGT は、気温、湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境の 3 つを取り入れた指標で、熱中症が起きやすい環境を知るための指標です。毎日のリアルタイムな WBGT はニュースのみならず、環境省の熱中症予防サイトの HP で確認できますのでぜひご活用ください。

②マスク着用により、身体に負担がかかりますので,適宜マスクをはずして休憩することも大切です。ただし感染対策上重要ですので,はずす際はフィジカルディスタンシングに配慮し、周囲環境等に十分に注意を払って下さい。また口渇感に依らず頻回に水分も摂取しましょう。

人間の体は、体温を一定に維持しようとするために、体温上昇時には体熱放散作用が働き体温の低下をはかります。体熱放散作用としては、皮膚の血管拡張や血流量の増加による熱の放散、発汗による水分蒸発作用のみならず「呼吸の促進」によっても体熱放散が起こります。WBGT で屋外活動が可能であるレベルであっても、マスクを着用する場合は普段よりも体への負担が強いため、作業や運動には十分注意し、強い負荷の運動は避け、口渇に依らずこまめに水分補給を心掛けてください。また、マスク着用により身体への負担がかかります。フィジカルディスタンシングを守りつつ咳エチケットを徹底しながら、適宜マスクをはずして、休憩することも必要です。

③体が暑さに慣れていない時期が危険です。フィジカルディスタンシングに注意しつつ、室内・室外での適度な運動で少しずつ暑さに体を慣れさせましょう。

暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて(暑熱順化:しょねつじゅんか)暑さに強くなります。この慣れは、発汗量や皮膚血流量の増加、汗に含まれる塩分濃度の低下、血液量の増加、心拍数の減少などとして現れますが、こうした暑さに対する体の適応は気候の変化より遅れて起こり、気温の変化から数週間ほどでゆっくり体が慣れてきます。今年はコロナ禍の外出制限により、在宅時間が長くなり、国民の多くが十分な運動ができないことが、この順化を遅らせる一因になると想定され、熱中症の発症率を増加させる懸念があります。コロナ禍の中での屋内・屋外での運動の留意点についてはスポーツ庁の HP にまとめてありますのでご活用ください 。

④熱中症弱者(独居高齢者、日常生活動作に支障がある方など)の方には特に注意し、社会的孤立を防ぐべく、頻繁に連絡を取り合いましょう。

独居高齢者、持病などで日常生活動作に支障がある人は、いわゆる熱中症弱者とされています 。とくに高齢者では、日常生活のなかで起こる非労作性熱中症が多く、屋内での発症頻度が増加しています。コロナ禍における外出自粛に伴う屋内の長時間滞在や、いわゆるフィジカルディスタンシングに配慮するため、見守り頻度の減少が熱中症の発症リスクや重症度を上げてしまうことが危惧されます。したがって、高齢者や独居の方に、声掛けを頻
回に行い、孤独を防ぐことが重要です 。高齢者、見守りが必要な方、その周りの方、みなお互いの安全を確認しましょう。
・家族や友人と電話で話し、元気なところを確認する。
・メール、SNS などを活用し、頻回に体調を確認する。
・身体の異常があったら声を掛けられるよう、連絡先を控えておく、教えておく。
これまま以上にお互いがお互いを気にし合い、顔が見えなくても、声を掛け合い、『心をつなぐ』関係を作りましょう。

 

なお一般的な熱中症に関する情報については過去のブログでお示しした『頭痛・吐き気を感じたら・・・熱中症は梅雨明け後が要注意」』もご参照ください。

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