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今できる新型コロナウイルス対策は?

[2020.02.16]

連日の報道の通り、日本でも「新型コロナウイルス」が新たな流行段階に入ったと考えられる感染経路がわからない国内感染例を認めている状況に至り、患者様の中でも心配される方からのご質問を受ける機会が増えてきました。

前回のブログ更新時に国内の初症例が認められた直後でもあり「新型コロナウイルス」を取り上げようと思いましたが、その時点では不明な点も多く言及できることも限られていました。しかしながら、その後1か月が経過したことで個人レベルでできることがはっきりしてきました。

  • 不特定多数の人が接触した部位(ドアノブやつり革など)を触った後はこまめに手洗い、手指消毒を行う
  • 手洗い、消毒前に目や鼻を手でこすらない
  • 人込み(2m以内)に入るときや咳が出るときはマスクを着用する(咳エチケット)
  • 可能な限り人込みには入らない
  • 密室の場所では定期的に換気を行う
  • 適切な栄養と睡眠をとって体調を整える(免疫力を維持する)
  • 糖尿病や高血圧などの持病を悪化させない

以上は同じく飛沫・接触感染するインフルエンザ対策と同じであり、コロナウイルス特有の対策はありませんが、自分や家族を守るうえでは重要なことなので初めに書かさせていただきました。当院でも来院時に手指消毒ができるように玄関に自動消毒器を設置しておりますでご来院の際はぜひご利用ください。

なお最新の情報については下記のサイトをご覧ください。

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」

内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」

コロナウイルスとは?どのくらい危険?

コロナウイルスはヒトに感染するものが今までに6種類知られており、今回発見された新型コロナウイルス」 は7種類目ということになります。既知の6種類のコロナウイルスのうち、4種類は主にヒトに感染するコロナウイルスでヒトコロナウイルス(Human Coronavirus(HCoV)) と分類されており、名前はそれぞれ、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1 というものです。これらの4種類は、いわゆる「風邪」のウイルスで、風邪の10~15%程度、流行期で35%はこれらによるものとも言われています。

残りの 2種類が重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS)中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS)です。ともに致死率が高く致死率も9.6%(SARS)、34.4%(MERS)と重篤な疾患です。今のところ「新型コロナウイルス」に関しては致死率2.8~0.4%と言われておりSARS,MRASほどの毒性はないようですが、2009年に発生した新型インフルエンザと比較すれば桁違いの毒性であり、今後感染の全体像が把握できると致死率も変化するかもしれませんが、決して季節性インフルエンザ同等と扱える疾患ではない考えます。感染力についても当初インフルエンザ同等ともいわれていましたが、現在はやや感染力を上方修正する報告が増えています。またインフルエンザは有効な抗ウイルス薬や検査キットが存在しており、特別な治療薬や簡便な診断法がないコロナウイルスはより厄介な存在です。ただし今回の「新型コロナウイルス」SARSと遺伝子構造が類似していることから、今後SRASに対して有効だった治療法などの経験が生かせる可能性もあります。

 

※基礎再生産数:1人の感染者が周囲に感染させる数

How Bad Will theCoronavirus Outbreak Get? Here Are 6 Key Factors.

症状の特徴は?

元来風邪ウイルスでもあることから一般的な発熱、咳、痰、筋肉痛(ときに下痢、嘔吐)など特徴的な症状はありません。ただし症状の期間は風邪のように2-3日で改善はせず、長期間(1週間以上)持続して倦怠感が強いといわれています。また感染する年代は全世代に認められますが、重症化する年代はやはり高齢者が多いようです。また持病を持っている方も重症化しやすく、現在報告されている持病としては糖尿病、高血圧、心臓血管疾患、消化器疾患など比較的一般的な疾患が多いようです。

感染を疑ったときはどうすればいいか?

2月17日に新型コロナウイルス感染症対策本部から発表された

「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」

1.相談・受診の前に心がけていただきたいこと

  • 発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。
  • 発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく。

2.帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安

以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。

  1. 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方
    (解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)
  2.  強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方

※なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
 ・ 高齢者
 ・ 糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD 等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方
 ・ 免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方


(妊婦の方へ)
妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
(お子様をお持ちの方へ)
小児については、現時点で重症化しやすいとの報告はなく、新型コロナウイルス感染症については、目安どおりの対応をお願いします。


※なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。


3.相談後、医療機関にかかるときのお願い

  • 帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。
  •  医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。


帰国者・接触者相談センターページ

福岡県ホームページ「新型コロナウイルス感染症について」

 

現在日本の感染状況は水際対策で封じ込めが可能な段階を超過していると考えられます。今後は感染拡大のスピードをいかに遅らせ、より重篤な感染者を拾い上げ、救命可能な医療体制を維持できるかという段階だろうと思われます。武漢での混乱した医療現場を教訓に同じ状況だけは避けれるよう、(都市全体の閉鎖や軍隊の導入など中国ならではの対応がおそらくできない日本では)個人レベルの予防処置が一番重要ではないでしょうか。

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