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新型コロナウイルス感染症と漢方薬

[2020.04.20]

今回で「新型コロナウイルス感染症」に関する記載は3回目になりますが、回を重ねるごとにより身近な危機として認識できる感染症となりました。すでに周辺の医療機関や介護施設などでもクラスターが発生しており、蔓延期に突入した状況になりつつあります。これまで以上に標準的な予防策や「3密」を回避する行動変容が必要であるとともにより踏み込んだ対策が必要となっております。

当院でもHPの「お知らせ」でお伝えしたように、緊急事態宣言後は皆様にご苦労をおかけすることになっておりますが、感染予防の徹底を図るため感染症外来は極力診療所敷地内のテント・プレハブや患者様の自家用車内での診療に切り替えております。かかりつけの方が安心して受診でき、また感染を心配されて受診される方すべてをお断りすることなく診療にあたるための対策ですのでご協力いただければ幸いです。

医学的には予防の観点からいえばワクチンが最大の効力を発揮しますが、残念ながらその完成にはかなりの時間を要する状況です。また西洋医学は病因・病態から分析を行い、そこから有効な薬物・治療法を開発する流れであることを考えば、「新型コロナウイルス感染症」にその他の疾患の薬剤が著効することは偶然の産物に期待するようのものです。

その点、生薬などを中心とした東洋医学は生体防御機能を増加させることに主体を置ており、「未病の治療」としては西洋医学より勝る点もあるのではないかと思います。

以下は日本医事新報の掲載された学術論文『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する漢方の役割』を抜粋してご紹介します。

ハイリスク患者の感染予防

まずは生体防御能を増すためには,日々の「養生」が何より大切です。正しい食事・適度な運動,十分な休養が基本です。それに加えて,漢方では徹底的に冷えを嫌います。冷たい飲食物を避け,適切な衣服で体を温める。生姜汁などもよいとされます。暴飲暴食は最もよくない。胃腸が弱ると防御機能が弱ると考えられます。その上で

高齢者:玉屏風散に加えて補中益気湯,十全大補湯,人参養栄湯といったいわゆる補剤を内服。

※補剤:免疫システムを活性化し、免疫力を上げる働きもを持つ漢方薬、補中益気湯はインターフェロン自体の産生を抑制したり、十全大補湯はNK 細胞機能が改善されることが分かっています。また、抑制系も活性化されることから、過剰な炎症(サイトカインストーム)の予防も期待されます 。

胃腸機能が弱っている方:四君子湯,六君子湯,茯苓飲などを内服。

ただし日本の保険医療制度では予防治療は適応外とされているため処方に関しては基本自費診療となります。

また食薬区分の「専ら医薬品」には分類されない薬用人参,霊芝,冬虫夏草,板藍根などは免疫を高める生薬を入手して服用することもできます。漢方薬は飲みたいが医療機関に行きたくないという方に勧められますが,インターネットなどでは品質の悪いものが高値で売られることもあるので信頼のおけるものを購入しましょう。

軽症患者の重症化予防

現在の日本ではまだ一般の風邪(ウイルス性上気道炎)と新型コロナウイルス感染症を早期に判別する手段は乏しいため発熱する前の感染徴候(寒気やのどの痛みなど)が少しでもあったら,ごく初期の症状を見逃さずに早めに葛根湯(インターロイキン 1a の産生を抑えたり、インターロイキン 12 を産生することにより過剰な肺炎を防ぐ可能性が期待されています),麻黄湯を、高齢者は熱産生が弱いので麻黄附子細辛湯が良いとされています。

 

今回は主に感染予防や感染のごく初期の軽症例を対象に漢方薬の可能性について触れましたが、発熱や呼吸器症状が持続したりした場合は下記の相談ダイヤルか当院受診の際は事前の電話連絡をよろしくお願いいたします。

福岡市 新型コロナウイルス感染症相談ダイヤル(帰国者・接触者相談センター)

 感染の予防に関すること,医療機関の受診に関することなど,新型コロナウイルス感染症に関する相談

 電話番号:092-711-4126 (FAX番号:092-733-5535)受付時間:24時間対応

※帰国者・接触者相談センターは各区の保健所に設置していましたが,4月20日から新型コロナウイルス感染症相談ダイヤルに一本化しています。

 

 

 

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