腸活で腸内フローラを鮮やかに?
いま流行りの「腸活」。よく耳にする言葉ではありますが、腸活にまつわるワードとして「腸内フローラ」や「食物繊維」と言った単語が一人歩きしている感が否めません。実際どのような手法で、どのような効果があるものかはイメージがわかない方が多いのではないでしょうか。
腸内細菌叢(フローラ)ブームとは?
腸内細菌叢(フローラ)が乱れると・・・
・肥満しやすくなる Nature;500,7464,541-546,2013
・大腸がん、肝臓がんのリスクアップ Nature;499,7456,97-101,2013
・糖尿病や心疾患のリスクアップ Diabetes Care;37,8,2343-2350,2014 NEJM;368,17,1575-1584,2013
・アレルギーが起こりやすくなる Science;349,6251,989-993,2015
・病原菌などに感染しやすくなる EMBO reports;16,2,164-177,2015
・ストレスに弱くなり、うつや不安症になりやすくなる Nature;518,7540,S12-15,2015
・子供の成長やメンタル面に影響する Cell;155,7,1451-1461,2015
これらはこの数年、世界でも有数の医学・科学専門誌で取り上げられた腸内細菌叢(フローラ)が乱れることで生じるリスクについての研究報告です。腸の病気にとどまらず全身の臓器や生活習慣病、はてはメンタルヘルスまで影響があるという驚くべき結果が出ています。過去には腸内細菌を培養して研究を行っていましたが、大半の腸内細菌は体外に出た時点で死滅することが多く、その実態がよくわかっていませんでした。しかしながら近年の遺伝子解析技術の進歩で腸内細菌叢の全容が明らかになるにつれ、上記のような報告が盛んになされるるようになったのがブームのきっかけとなっています。
腸内細菌叢(フローラ)とは何か?
私たちの腸の中にすんでいる細菌は、約500〜1000種類、100兆個以上にも及ぶといわれています。これらは勢⼒争いをしつつ数のバランスを保ちながら、⼀種の⽣態系を形成しています。
なかでも⼩腸の終わりから⼤腸にかけての腸の壁は、腸内細菌がお花畑(フローラ)のようにびっしりと、種類ごとに分布していることから、「腸内フローラ」または「腸内細菌叢(さいきんそう)」と呼ばれています。腸内フローラのベストなバランスは、善玉菌2割(ビフィズス菌、乳酸菌など)、悪玉菌1割(ウェルシュ菌、ブドウ球菌など)、日和見菌7割(連鎖球菌、大腸菌(無毒株)など)といわれています。しかし、ストレス、加齢による善玉菌の減少、偏食などによって、悪玉菌が優勢になり、腸内フローラのバランスが乱れることがあります。
フローラを整える腸活
乱れてしまった腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて二通りあります。
① プロバイオティクス:善玉菌を食事で補う
まず一つめは、健康に有用な作用をもたらす生きた善玉菌であるを直接摂取する方法です。食品ではヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含むものです。ただし、これらの菌は腸内にある程度の期間は存在しても、住み着くことはないとされています。そのため、毎日続けて摂取し、腸に補充することが勧められます。
② プレバイオティクス:善玉菌を育てて増やす
二つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のあるを摂取する方法です。食品成分としてはオリゴ糖や食物繊維で、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。消化・吸収されることなく大腸まで達し、腸内にもともと存在する善玉菌に、好きな炭水化物の「エサ」を優先的に与えて、数を増やそうという考えです。オリゴ糖は、大豆・たまねぎ・ごぼう・ねぎ・にんにく・アスパラガス・バナナなどの食品にも多く含まれていますので、これらの食材を食事に取り入れると良いでしょう。また特定保健用食品などで市販されているものもあるので、効率的に摂取するにはこれらを利用するのも一つの方法です。
当院では自費診療ではありますが自分自身の腸内細菌叢を調べることができる『Mykinso Pro』を導入しております。ご興味のある方はスタッフにお尋ねください。