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新型コロナウイルスの現状と今後の見込み、発熱時の対応について

[2020.03.22]

前回のブログ更新時ではまだ身近な生活では影響を及ぼしていなかった「新型コロナウイルス」ですが、福岡県内での感染者の発生や全国一斉の休校要請、さらにマスクに続くトイレットペーパー不足などにより一層日常生活での影響が出ております。また経済面でも感染の中心地が欧米に拡大したことで世界経済が後退局面に入り、もはや誰一人として無関係といえない状況です。

当院でも発熱者などの感染兆候のある方はマスク着用を必須として、厳格に隔離し、一般の受診者の方々との接点をなくす取り組みや院内消毒などスタッフを含めた感染予防策を徹底して診療にあたっております。このため車で来院していただいた方には車内での待機をお願いする場合もありますので、ご面倒をおかけしますがご協力のほどよろしくお願いいたします。

日本国内での感染者数も1000名を超える状況になり、いまだ流行の終息は見えませんが、同時に日本での「新型コロナウイルス」についての知見も徐々に集積されています。今回は3月19日に公表された新型コロナウイルス感染症対策専門家会議からの「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」についてポイントを解説したいと思います。

日本国内での感染状況は?

2月27日に安倍総理が「(感染拡大を防止するために)ここ1、2週間が極めて重要な時期だ」として休校要請や大規模イベントの自粛要請を行われて以降その効果は徐々に出てきていると思われます。

現在国内の感染対策は「クラスター」と言われる集団感染をいかに発生させず、いち早く把握して拡散させないかに重点が置かれています。クラスターの発生条件は日常生活の場面でも留意すべきポイントがあります。

①換気の悪い密閉空間

②人が密集している

③近距離での会話や発声が行われる

という 3つの条件が同時に重なった場は極力避ける心掛けが必要です。以上のような対策の結果、下記のグラフのように3月上旬以降は感染者からの二次感染数(実行再生産数:青線)は1以下で推移しています。

ただしこのまま短期での終息が望めるかといえば答えは「NO」です。

現在日本ではコロナウイルス検査(PCR検査)は症例を限定して行われている状況であり、感染の全体像を明確には把握できていません。下記のグラフは感染経路がわからない感染者数を地域別にしましたものです。感染経路がわからない感染者の存在は、その裏に存在する「隠れクラスター」の可能性を示唆するものです。特に東京・大阪などの大都市圏では増加傾向を認めていることから、ここからクラスターの連鎖による「オーバーシュート:爆発的患者急増」の可能性は十分あると考えられます。やはり短期的収束は考えにくく長期戦を覚悟する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分や家族が発熱した時の対応は?

徐々に我々の周囲にも感染リスクが増してきている状況で、実際に発熱や咳などの症状を訴えて受診される方も増えております。現状コロナウイルスのPCR検査は感染者の濃厚接触者以外では呼吸不全の肺炎症例でなければ施行できない状況です。新型コロナウイルスの80%は軽症の風邪症状で収まることを考えれば、何らかの感染症状(発熱、咳・痰、のどの痛み、倦怠感など)がある場合は新型コロナウイルス感染症に感染している前提で対応する必要があります。

過去にインフルエンザやノロウイルス(嘔吐下痢症)などで家族内感染を来した経験のある方は特に下記の9のポイントに留意いたければと思います。

①感冒様症状の方はできる限り家族との接触を避け, 療養する部屋も分けて下さい.

②看病が必要な場合は看病する人を限定(できれば1人)して下さい.高齢者や基礎疾患を有する方, 妊娠中の女性が看病に当たることは避けて下さい.

③定期的に部屋の窓を開けて換気して下さい. (1-2時間に1度, 5-10分が目安)

④ 療養する部屋から患者が出るときはマスクをつけ, 部屋を出る直前に手洗い・手指消毒を行って下さい.

⑤ 患者と家族はタオルを共有せず, 別のものを使用して下さい.

⑥ 患者の入浴は最後にして下さい.

⑦ 患者が触った箇所(ドアノブ・手すりなど)はアルコールを浸した紙で拭き取り消毒し,拭き取った紙は再利用せずすぐにゴミ箱に捨てて下さい.

⑧ 患者が使用した衣類やシーツを洗濯する際は, 手袋とマスクをつけて洗濯物を扱い,洗濯後は十分に乾燥させて下さい.

⑨ 患者が出したゴミはビニール袋等に入れ, しっかりと口を縛って密閉してから部屋の外に出して下さい. またゴミを扱った直後はしっかりと手洗いを行って下さい.

※日本プライマリ・ケア学会手引きより一部改変

消毒については過去のSRASコロナウイルスなどのデータでは下記の消毒液が有効とされています。

・皮膚の消毒:70%以上のエタノール、50%以上のイソプロパノール、ポピドンヨード

・環境の消毒:70%以上のエタノール、50%以上のイソプロパノール、0.2%の高濃度次亜塩素酸ナトリウム

また最近になりエアロゾル感染といわれる数時間空気中にウイルスが漂う感染経路が注目されています。これに関してはこれからの季節(今年は特に)温暖な気候がが続くことから、窓を開放して空気の流れを作ることが家族内感染予防にも重要と考えます。

実際には以上のような管理は生活の場である自宅環境では難しい点もあることから、可能であれば高齢者などのハイリスク者は一定期間(2週間)は別居を検討するなどあってもいいかもしれません。

すでに自粛生活が開始されから1か月弱ほど経過したため、精神的にも抑うつした状態になりがちだと思われますが、まだ気を許すには時期尚早と思われます。イタリアなどの惨状をこれ以上起こさせないためにも、全世界が一致団結できればと願っております。

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